イタリアンレストランでの食事のあと海に行くまでの日々は少しずつ、ほんの僅かではあるけれど、
変わっていったような気がします。

日々のメールの内容。
明るくなってくるというか、上手く表現出来ませんけど何か心の奥の扉が少しずつ開いているというか。。。

その間に妻は2回担当者として私の職場に来るのですが、その2回とも偶然会った。
偶然を装ったとかではなくて、シチュエーション的に本当に偶然でしか有り得ませんでした。
これには二人とも驚きました。
その時の妻の驚いた顔とその後の笑顔は、再会したころとは明確に違っていました。

同じ笑顔でも、心がこもっているのといないのでは全く別物ですよね?
これは当事者でないと分からないことかもしれませんけど、分かるものだと思っています。

そんな感じで迎えた当日。

私は約束していた場所へ妻を迎えに行きました。
藤で出来たバスケットと水筒を持って車に乗り込んで来ました。お弁当作ってきたよ!って言いながら。

目的地は一般道で行っても二時間程で着く程よい距離なので、のんびりと向かおうって感じで車を走らせました。そういえば妻が私の車に乗ったのはこの時が初めてで、妻曰く『運転に性格が出てる』って微笑んでましたね。


暫く走って海岸道路に出たときに、エアコンを切って窓を開けました。
仄かな潮の香。これを味わって欲しかったんです。


目的地に着くと、

妻が『うーん!いい香り!』
『だろ!』と返し。

暫く歩いて海岸にたどり着き、二人で腰を降ろしました。暫くボーっとしてると、妻が『良いところだね!今日は無理言ってごめんね。』と言ってきました。

それには答えずに私は言いました。
『悩みとか、苦しみとか、誰にも言えない事とかあるんだよね?』
『聴いてるのは海と俺だけ。全部聴いたら、グシャグシャにして丸めて海に捨ててやるから、スッキリしよ?』
(書いてて恥ずかしくなりますね)


妻が話始めるまで待ってました。
(話すのに勇気が必要だったとおもいますよ。)